笑い事じゃねぇよ。

鬼子母神様に申し訳がない。比べてしまったことに。かの神様は神になる前も、自分の子供だけは愛していた。それが、彼女は「疎ましかった」と。

うとまし・い【疎ましい】

1 好感がもてず遠ざけたい。いやである。いとわしい。「名前を聞くのも―・い」

2 異様で恐ろしい。気味が悪い。不気味である。

自分の産んだ娘を、こんな風に思うなんて、いったいこの人は、どういう人間なのだろう。


ウチの嫁様は同じ歳。まぁ、すてきなお母さん、ではないが、そこそこのお母さんだと思われ。確かに「怒ると怖〜い」と娘に言われてるけど、それは子供を育てるうちの許容範囲内。だから、彼女と比較されるのは、プライドが傷つくのだが。

「お母さんもMのこと、橋から落とすの?」

そんな訳ねぇだろバカタレ。俺たちは、俺たち夫婦は、君のことを愛してる。大丈夫だ。安心してゆっくり寝なさい。お父さんもお母さんも働いてるから、寂しい時はあるかもしれないけれど、いつでも愛してるから。